はるか昔のダイヤモンドの血なまぐさいお話を。
世界最古のダイヤモンド「コイヌール」はアジアの王様たちを血なまぐさい戦争にかきたて、兄弟同士の残酷な抗争まで巻き起こしてしまいます。
そして写真のダイヤモンドは、ペアシェープカット(洋梨型)の「サンシー」です。
このダイヤモンドを所有者だったフランス王、アンリ3世が暗殺され、この石をアンリ4世まで運ぶように任命された若者が、途中、盗賊に襲われます。 石は、なんということか、殺された彼の腹部から発見されました。 彼は、命に代えて、飲み込む事で石を守り抜いたのです。
このカットを評するとき、ペアシェープ型といわず、涙形のダイヤモンドと呼ぶお客様がいます。たしかに、涙がこぼれる形を想像するのですが、私は、この呼び方は好きではありません。
ダイヤモンドには、なんの罪もありません。その魅力に欲求と精神を乱された人間が悪いのです。
ダイヤモンドは、そんな人間たちの常識を超え、今も燦然と輝いています。