中嶋先生とエマイユ技法

中嶋先生は、卓越した金属工芸の造形力にエマイユ技法を重ねることで、独自のアイデンティティーを獲得することを考え、エマイユ(七宝)の技法の研究を始めました。

アールヌーヴォーを代表するエマイユ作家といえば、ルネラリック。

中嶋先生は、七宝の技術書を読み漁っては試しますが、ラリックの表現につながるヒントはなかなか見つからなかったそうです。

日本の七宝は、主として花瓶や器などの平面の装飾技法として発展してきました。その結果、日本の七宝は、陶磁器の絵付けと同じように器物の表面に複雑な文様を描く表現技法としての性格が大きくなり、土台となる器物の造形とは切り離された技術としてとらえられてきました。

先生は、ヨーロッパの七宝とこの明確な違いに気づき、装飾品のフォルムを作り出す金属工芸とエマイユの密接な繋がりを大切にするのです。

中嶋先生の作品