純金を使用しない理由・・・

100%の金を純金と話してきましたが、我々の業界では、古くから純金のことを「ヤキ」と呼びます。金を精錬するときに塩をつけて焼いたので「ヤキ」というそうです。純金に対する憧れは、今も昔も変わりません。古代ジュエリーは、ほとんどが22K以上です。 では、どうして、現代のジュエリーに「ヤキ」を使用しないのでしょうか? 大きい理由は、2つあります。 一つは、「ヤキ」では、柔らかすぎて、キズがつきやすいのです。 18金は「ヤキ」より硬く、指輪などの表面にキズがつきにくくなります。 ただ、キズがつきやすさの硬度でいうと、「ヤキ」でも「18金」でも「ヘラ」という道具でこすると、表面が硬くなりキズがつきにくくなります。 一般に金属は、力を加えて圧をかけると、分子が規則正しく並び変わり、その結果、硬くなります。 これを加工硬化といいます。 手作りのジュエリーは、この「ヘラかけ」をしてあり、表面に加工硬化をおこしキズがつきにくくしてあります。 安価なジュエリーには、この作業は、省かれます。(すぐ曲がったり、傷つきやすいのは、この理由です。) 話は、脱線しましたが、二つめの理由は、「ヤキ」では、柔らかすぎて、加工したり、石を留めたりするときに困るのです。 例えば、石を留める爪を「ヤキ」で作ったら、爪が柔らかすぎて、曲がりやすく、服に引っかかったりすると爪が起き上がり、石がはずれてしまいます。 下の写真のようにお手持ちのジュエリーがなったことがありませんか? 金属は、純粋なものほど柔らかく、他の金属を混ぜると硬くなります。 そのことが、わかってから、金には、他の金属を混ぜてヤキより硬くしているのです。