クマゼミの特技

セミの種類別生息状況を実施した大阪府の観察結果より、公園など緑の多い場所ほどアブラゼミの割合が増える傾向が見られた。

それに比較して、府の中心部ほどクマゼミが圧倒的に多いことが判明した。

産業技術総合研究所の研究員 森山さんは理由を次の2点を挙げています。

まず1点は孵化の時期。クマゼミの雌は夏に木の枝に卵を産み、翌年夏に幼虫が孵化する。その孵化の時期は、以前は7月下旬から8月初旬で、6月から7月上旬に孵化する他の種類のアブラゼミやツクツクボウシよりも時期が遅い。

ところが近年のヒートアイランド現象による都市部の局地的な気温上昇で孵化までのスピードが早まり、特にクマゼミは梅雨の時期とも重なるようになったらしい。

孵化の際、幼虫は木から落ちて地中に潜るが、この移動の間にアリなどの天敵に食べられる危険性が高い。逆に雨の日は比較的安全という。そのためクマゼミの孵化が梅雨時期に重なったことで、生存率が高まったようです。

しかも、アブラゼミの幼虫は固い土を掘り進めないのだが、クマゼミの幼虫は難なく掘り進めるのです。

大阪市は東京23区と比べ、面積全体に占める緑の割合が3分の2ほどに過ぎず、都市部の中でも極端に緑が少ない。

そのため東京よりも大阪の都市部で極端に土が乾燥し、クマゼミ以外のセミが住みにくい環境になってきているのです。