カシミールサファイア

現在、カシミール地方と呼ばれるエベレストの次に高いMt.K2を含めたカラコルム山脈を擁するインド、パキスタン、そして中国に囲まれた山岳地帯は、かつてジャンムー・カシミール藩王国がありました。

カシミールサファイアは、インドとパキスタン国境付近にあるザンスカール山脈のほぼ中間の高地、バッダール渓谷で1881年に山崩れで露出した岩壁のくぼみの中で、偶然に発見されました。その後、カシミールのマハラジャが鉱山の所有権を主張し、1883年には軍を派遣し、元々そこに住んでいた村人は締め出されてしまいます。その後、カシミールのマハラジャは後に『Old Mine』として知られるようになる鉱山の運営をはじめ、1887年までには最上質の大型結晶の大半は取りつくされたと考えられています。
この鉱山ではクリケットのボール(直径7cm程)より大きなサファイアや数千カラットにも及ぶ宝石質の結晶、20カラットを超えるカットされたサフィアなど多くの最高品質のサファイアが産出されました。しかし、発見後、数年の間で枯渇してしまいまい、その間に採掘された推定100kgほどの最上級の原石がカットされ、市場に出回り『幻のサファイア』と言われるような伝説の宝石になったというわけです。

当店に1ピース現存する『カシミールサファイア』を明日、ご紹介いたします。